テレワークに適したサイズのオフィス
ここでは、テレワーク拡大にともないオフィスの縮小を検討している企業に向けて、オフィス移転・改修のコンサルティング会社である、ティーズブレイン代表の竹下氏に、導入する際の注意点や考えるべきことについて聞きました。
テレワーク拡大におけるオフィス縮小を成功させるには

テレワークに伴いオフィスがガラリと空いてしまい移転を考える企業が増えてきましたが、場合によっては今のスペースのまま見直すことができ、わざわざ移転しなくても良いという場合があることを知っておく必要があるでしょう。
大切なのはオフィスをどうするかを先に考えるのではなく、働き方の定義をどうするかを先に考えることが大切です。それにより今のオフィスに持たす機能や環境が変わってきます。
例えば営業は全員をテレワークにするということを定義するのであれば、社内に固定電話が不必要になり、その代わりオンラインで商談できる環境の設置や、社外からメールを確認できるような体制とセキュリティを強化しなくてはなりません。テレワークありきで考えるのではなく、生産性や作業効率が下がらない環境の構築も必要になってきます。
ティーズブレインが手掛けた
オフィス縮小事例
日立金属株式会社への
オフィス縮小事例

2016年から継続的に働き方改革に取り組まれており、ペーパーレス化、ITインフラ整備、在宅勤務制度、裁量労働制度など多岐に渡って施策を講じてきたため、コロナ禍においても在宅勤務を中心とした勤務体制が上手く機能されていました。一方で、出社率30%以下と常にオフィススペースに無駄が出来ており、また当時のオフィスの契約満了を控えていたことも背中を押す形となり、3000坪から900坪へ縮小移転されました。

新オフィスでは、これまでの固定席からフリーアドレスへのスタイルチェンジと、現在の働き方に見合ったオフィスへの再構築が課題でした。
そこで弊社では、業務に集中しやすい環境とコミュニケーションの取りやすい環境が共存するゾーニングを検討し、かつ、それが生かされるABW型(アクティビティ・ベースド・ワーキング)オフィスをご提案させていただきました。

加えて、各エリアでの働くイメージが湧き、会社の求めるオフィス活用が促進されるように、運用ルールの策定とマニュアル作成のご支援をさせていただきました。
コスト削減へと繋がったことはもちろん、移転後の従業員アンケートでは、部門間での会話や交流が増えたという声があがったと伺っています。
本メディアでは、日立金属さんへオフィス縮小へ至った経緯についてインタビューを行いました。ぜひオフィス移転の参考にしてください。

代表取締役社長 竹下 仁氏
“本当の意味でのオフィス改革を推進”
株式会社ティーズブレインは、オフィス改革を通して従業員へ企業理念の浸透やエンゲージメント向上などをコンサルする企業。経営層の「こうしたい」を汲み取り、単なる形だけの変革ではなく、従業員の働きやすさを追求し、エビデンスを基に、より機能的かつ効果的な提案を行います。

代表取締役社長 竹下 仁氏
以下ではオフィス縮小の効果やメリットだけでなく弊害についても説明しているのでぜひ参考にしてください。
コロナ禍によるテレワークで進むオフィスの縮小
新型コロナウィルス感染症対策で、テレワークの導入をする企業が近年一気に増えました。テレワークになったことで従業員の業務スペースに余剰が出て、オフィス縮小に踏み切った企業も多いです。
感染症対策だけでなく、ICTの普及も自由な働き方が推進される要因となっており、今後もオフィスへ出社しなくても対応できる業務範囲が増えたこともひとつです。
オフィス縮小により得られる効果
固定費を削減できる
オフィス縮小でフロア面積が減ることは、まず賃料の削減につながります。また、光熱費も抑えられるほか、インテリアやオフィス機器、設備類も最小限にすることができます。さらに、テレワークに伴うオフィス縮小の場合には、従業員の交通費等も削減できるでしょう。
業務効率のアップにつながる
オフィス内でないと対応できない業務、オフィス以外でも対応可能な業務を分けることにより、業務の効率化を図れます。従業員が業務の内容によって稼働する場所を選べれば、自律的な働き方が身に付き、効率性や生産性のアップが期待できるからです。
より快適なオフィス環境を作るきっかけになる
オフィス縮小を機に、スペースを有効化できるフリーアドレスを導入する企業も多いです。フリーアドレスのオフィス環境は従業員同士のコミュニケーションを活性化させ、新たなアイディアも生まれやすくなると言われています。
またWEB会議や商談用ブースを設置する企業なども多く、オフィス縮小は、テレワーク時代のニーズに対応する快適なオフィス環境を整えるきっかけとなるでしょう。オフィスの快適性がアップすることは、従業員の満足度向上による生産性アップや、採用活動へのプラス効果なども望めます。
オフィス縮小の弊害
オフィス縮小に移転が伴うケースでは、引っ越し代や移転先オフィスの構築費などが必要です。移転前のオフィスの原状回復工事費用等も考慮する必要があるでしょう。また移転を伴わない縮小であっても、内装工事や電気工事にかかる費用は生じます。こうした費用をしっかり把握しておくことが重要と言えそうです。
そのほかのデメリットとしては、あまりに経費削減を優先すると、本来重視すべき働く環境が逆に低下してしまう恐れもあります。そのため、単純にオフィス面積を縮小するだけではなく、従業員の働きやすさについてしっかりと配慮することが重要です。