ティーズブレインの考える
本物の"オフィス改革"とは
株式会社ティーズブレイン/代表取締役社長 竹下仁
本メディアの監修・取材協力をしていただいているオフィスコンサルティング会社、株式会社ティーズブレイン代表の「竹下仁」氏に、なぜ通常のオフィス移転ではなく「オフィス改革」という言葉を用いているのか、そのきっかけやオフィス創りにかける想いについてインタビューを行いました。
単なる「オフィス移転」ではなく、
経営マターの「オフィス改革」
従業員のエンゲージメント向上
生産性が上がらなくては意味がない
編集(以下「編」) 「オフィス移転」や「オフィスデザイン」ではなく、「オフィス改革」という言葉を用いて取り組まれていることに対して、どのような考えをお持ちでしょうか?
竹下氏 「オフィス移転」というのは、「移転」という言葉が付いていることもあって、A地点からB地点に行って、また違ったオフィスを作るので、いわゆる業界のカテゴリーでは建設業的なところに置かれてしまいます。
しかし私は「オフィス改革」はサービス業だったりコンサルティング業であると考えています。オフィスを変えることで、企業のイメージアップや採用率の向上、従業員のエンゲージメントアップ、あとは業務の効率化や生産性の向上、仕事に必要なイノベーションが生まれたりとか、そういったことがすべて期待できます。
つまり、働く環境の変革を作っていくことが「オフィス改革」という言葉につながるんじゃないかなと思っています。
編 そもそも「オフィス改革」が企業のブランディングやエンゲージメントの向上につながっていくというお考えに至った経緯を教えてください。
竹下氏 私がこの会社を立ち上げる前の会社に勤めていたときの話になります。その会社でオフィス作りをする際に、経営層やいろんな人たちの意見を聞きながら「じゃあ、こういうオフィスにしたらどうですか」という提案をしていました。
しかしいざオフィスを変えてみた結果、使われていないスペースができてしまったり、運用がうまくいかなかったり、いろいろ聞きながら検討してやったはずにも関わらず半年、1年経つと、ひずみが出てくることがあって、ずっと何でだろうと思っていたんです。
“箱よりも人”に着目した新しいオフィス作り
ティーズブレインの会議室。凛という文字と竹が印象的
編 ずっと違和感を覚えていたということですね。
竹下氏 その後、この会社を設立して3、4年目ぐらいのときに、東大大学院の准教授と知り合い、その先生に「箱を作ってもさほど意味がない。そこにいるのは誰なんだ」ということを教えていただきました。
やっぱりそこで働いてる人、つまり経営者が思ったような働き方だったり、理念やビジョンに合ったような働き方をそこで働く皆さんにしてもらうには箱というよりも人が先行になると。そこをしっかり考える必要がある。
オフィスは美術館とかホテルを作るような感じで作っても駄目で、やっぱり人に着目をすることを最初にしていくことが正解なんだというのを知ってから、ブランディングやエンゲージメント向上ということと結びつきました。
編 では、どのようなところから変えていったのでしょうか。
竹下氏 一つはうちの従業員の意識です。ただ単に箱を作るとか、美術館やホテルを作るような見た目の良さだけを追求していくとか、そういったことでは駄目だということをしっかり伝えていきました。
例えばこの会議室で言えば、作ったときには何もなかったのですが、もうちょっとお客さんにアピールできる会議室があってもいいんじゃないかとか、そういう話をしました。
そうすると、我々は透明性や公正性ということをものすごく大切にしているので、それを表すものとして「凛」と「竹」みたいなアイデアが出ました(※上の画像参照)。さらにそこから、この場所にお客さんが一番来られるので、この場所に表すのが一番いいんじゃないかというアイデアが生まれはじめました。
このようなことを、まずは社内でやって「なるほどな」と、みんなが思ってもらえるようにしていくことを最初にどんどんやってきましたね。
オフィスの面積を半分にするプロジェクトの成功例
オフィス改革にかける想いとこだわりを語る竹下氏
本質を見抜き、エビデンスに基づいたオフィス作りを提案
編 竹下様が「オフィス改革」をする際に大切にしているポイントは、どのような点になりますでしょうか。
竹下氏 1つは理念とかそういうところにもあるように、課題が必ずあって達成したい目的が必ずあるということ。それをクリアできるようにしたいというところがあります。
もう1つは何が本当の正解なのかという本質を見抜くことです。我々は、いろいろな人にインタビューをさせていただくので、結構バラバラな意見になるケースがあります。こんな意見もあんな意見も出ていたけれど、実際はどうなのかという、本質をきちんと見抜く力も必要なのかなと思います。
さらに、納得感のある根拠というのをきちんと作っていくことも大切です。それがないと、だからこういうことをしませんかというふうにならないので、エビデンスや根拠みたいなものを納得感のあるものにしていくことが大切だなと思います。
編 「根拠を作る」というところで言うと、具体的にどういうような根拠を持っていかれるのでしょうか。
竹下氏 某企業の例になるのですが、自社ビル2棟を1棟におさめようというプロジェクトの依頼がありました。物理的に面積が半分になってしまうので、今まで通りの働き方では、当然2分の1にはなりませんよねという根本的な話をしました。だとすると、社長がやりたいことを考えたときに、こういう働き方にしていかないと2分の1にならないということを提案しました。
編 半分にするためにどのような進め方をしたのでしょうか。
細かく聞き取りをしました。机の上には何が置いてあるんですかとか、何がキャビネットに収まってるんですかとか、そういう具体的なことを聞いていったんです。そこで、こういう面積が必要になっているらしいんですけれど、本当必要ですかと確認していきました。
編 キャビネットに何が入ってるかって実は誰も把握していなかったとか、全然いらないものがずっと収まっていたとか、そういうようなことでしょうか。
竹下氏 そうです。もうとっくに捨ててもいい物が残っているものが大量にあって、そのためにオフィスを維持しなきゃいけなかったという、その事実を伝えるということがとても大切ですね。
オフィスに余裕が生まれ
リフレッシュコーナーの設置、採用の強化まで実現
編 断捨離を断行したと。
竹下氏 そうしたら、今まではいろんな物があったのが、半分以上なくても済んじゃったんです。なので、リフレッシュコーナーとかいろんなものが作れたんです。そういう意味で言うとエンゲージメントとか、そういうものが上がってくるわけです。
コミュニケーションが取れるようなスペースとか、そういうものが今までは自席ぐらいしかなかったんです。そういういろんなものが、2分の1になっても作ることができました。
編 思わぬ副産物まで作れたのですね。
竹下氏 さらにいうと採用強化まで実現することができました。採用をするときに、オフィスツアーというのを設けてもらったんです。
こういう順番でオフィスツアーをしましょうというのを僕たちが作って、こういうところをアピールするのがいいと思いますよといった形で。応募された人たちが来るたびにオフィスツアーをし、オフィスをアピールして、結果として2次、3次試験にも残ってくれて、今まで採れなかった大学の優秀な人たちも来てくれるようになったとおっしゃっていました。
編 一般的なオフィス移転では、「これを確保するスペースをどうしましょう」「じゃあ、ここにキャビネット置きましょう」とか、そういう考えになると思うのですが、御社の「オフィス改革」は、本当にそのキャビネットが必要なのかとか、そういうところから考えていくのですね。
竹下氏 今がありきではないですね。経営者や経営層がどうしたいのか、というところから入っていかないと、今が正解かどうかが全く分からないので、今を基準に考えてしまうと失敗すると思います。全くゼロから考えていかないといけないんじゃないかなと思います。
自社の利益ではなくお客様のコストマネジメントも
予算の中で最大限に希望を叶えることが
我々のプラスアルファの価値
ティーズブレインが手掛けた施工事例1
竹下氏 もう一つ大切なのは、やっぱりお金なんですよね。オフィス改革には、機能を付加しなければならなかったり、なかったものか購入しなきゃいけなかったりとか、費用がかさんできてしまうので、コストマネジメントというのもすごく大切なんです。
通常の会社だと最初に優先するのは自分たちの利益なんですね。我々は工事はほぼしません。我々の業務内容の範囲、業務期間、こういう体制でやるのでいくらくださいというのを、始まる前にすべてを決めてしまっています。
そこでお客さんと合意が得られましたら、そこから先は私たちは全部お客さん側なんです。お客さんの一員として、すべて物事を考えますから、そこから先は自分のオフィスを構築するような考えでやっていきます。
多くの企業は5つやりたいことがあっても、2つ3つ捨てなきゃいけなくなってしまう。しかし我々の場合は、お客さんと同じ立場で考えられるので、その付加価値をどうやって残せるか、必要な機能を捨てないで、どうやって追加できるかとかを予算の中で一緒に考えられるのが、プラスアルファの我々の価値なんじゃないかなと思います。
編 普通であれば、やりたいことに対してオプションで加算されていくところを、予算内でどう達成していくかということでしょうか。
竹下氏 そうです。諦めるというよりも目的を達成するために、本当にやらなきゃいけないことをしっかりやっていく。さらに、コストもできるだけ合わせるようにしていくということです。
最初の準備段階で迷ったら、まず相談を
ビル選定の段階から最大限の価値を提供
ティーズブレインが手掛けた施工事例2
編 コストマネジメントをする際に大切にしていることはどこでしょうか。
竹下氏 工事単価とかそういうものの話だけでコストマネジメントをしようと思うと、失敗します。
例えば、100万円の見積りに対して予算が半分しかなかった場合、上流工程を見直すしかありません。工事には発注は借主、業者の選定はビルのオーナーがするB工事と、発注も業者の指定も借主ができるC工事というものがあります。
そこで契約の段階からB工事をC工事に振り替えられるような交渉を、お客さんと一緒になってやってあげることで工事費というものを抑えることができます。もっと言うとビルを選ぶ段階で、アサインをしていただけるとコスト面ではぐっと下げることができます。
なぜなら、立地とかビルスペックとか、そういったところも今のお客様のお客様がどの辺にいるかとか、お客様の従業員の勤め方とか、いろんなことを考えながら立地を決めることができるからです。この辺の立地の中でどういうビルがあって、コスト面で抑えられるビルはここといったコンサルができるんですね。
編 そもそも新宿で考えているけど、新宿ではないがこの場所だったら家賃を抑えられるとか、そういうことでしょうか。
竹下氏 そうです。実際にどれくらいの面積を借りるのが適切なのか。リモートワークがすごく多くなってきていますから、実際にはもっと縮小できるかもしれないし、そういうことを事前にやらせていただくことも可能です。
なので、そろそろ働く環境を変えなきゃいけないなとか、リモートワークとかいろんなもので働き方が変わったので、ちょっと働く環境を見直さなきゃいけないとなった段階でご相談をいただくのが、一番いろんな面でお客様にメリットを感じていただけると思います。
編 そういう意味での上流工程の見直しということですね。
竹下氏 「もうビルが決まっちゃいました」と言うと、そのビルに関しては、もう何もいじれなくなってしまいます。
オフィス移転は何年に1回のことですし、移転じゃなくても増床や減少ですら、そんなにしょっちゅうやることではないので、総務の担当者だったり、部長や役員クラスの人でも、そんなに経験があるわけではないんですよね。ですので、迷った段階からお声掛けをいただけるのが、多分一番我々の価値を感じていただけると思います。
編 具体的な成功例などはございますでしょうか。
竹下氏 業績が伸び悩んでいる影響でオフィス移転を検討されている企業の例です。移転するのにお金も掛かるし、どうしたものかと相談があったんです。そのときに提案したのが、今の立地からはちょっと奥に入るんだけれど、でも新築案件で、なおかつ必要な面積を確保できて、家賃も下げられて、面積もちょっと下げることができるところを紹介させていただきました。
かなり上流工程からやらせていただいたのですが、オフィスの工事に掛かる費用をペイするのに1年以内でできてしまったんです。
編 そんなに早く、素晴らしいですね!
環境を作り、人を作り、最後は資金を作る
「管理部門の応援団」になることを目指しています
編 今後の竹下さんの展望を聞かせてください。
竹下氏 我々が社是っぽい話で言うと、「管理部門の応援団」というのが一番近いのかなと思っています。
最終的には財務経理系のコンサルもできるようになると、もっといろんなご支援ができるようになるのではないかなと考えています。
株式会社ティーズブレイン会社概要
社名 | 株式会社ティーズブレイン |
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URL | https://www.t-sbrain.jp |
所在地 | 東京都品川区東五反田五丁目21-15 メタリオンOSビル4F |
TEL/FAX | TEL:03-6408-5000/FAX:03-6408-5005 |
設立 | 2010年2月3日 |
事業内容 | 働く環境の変革コンサルティング事業 働く人のパフォーマンス向上コンサルティング事業 オフィス(構築)にかかわるコスト削減事業 その他(人事及びICTコンサルティングサービス) |
その他 | 東京大学大学院経済学研究科准教授との産学連携による共同研究 |