オフィス移転にかかる費用
オフィス移転にはまとまった費用がかかります。そのため、予算の検討は必須です。しかし、オフィス移転費用は、オフィスの規模によるため、相場を確認しても自社のオフィス移転予算を決めることができません。
オフィス移転の予算を考える際は、どのような費用がかかるかを知った上で、自社の規模だとどれくらいかかるか考えることが大切です。ここでは、オフィス移転でどのような費用が必要か解説します。予算を考える際の参考にしてください。
オフィス移転にかかる費用は?
オフィス移転にかかる費用①:引っ越し費用
オフィス移転の際に必要な引っ越し費用には、「荷物の運搬」と「不用品の処理費用」があります。現オフィスから新オフィスに荷物を運ぶ費用は、社員1人当たり3~5万円が相場と言われています。引っ越しの繁忙期になると相場の1.5倍程度を考えておきましょう。
オフィス移転を考えているときは、荷物の移動ばかり考えがちですが、忘れてはいけないのが、不用品の処理です。移転の際は、意外と不用品が出てきます。オフィスの不用品は、産業廃棄物です。処分には費用がかかります。4tトラック1台につき12万円が相場です。さらに精密機器など特殊な廃棄処理が必要な場合は追加費用が必要なこともあります。
荷物を整理していくうちに、不用品が増えていくため、処分費用も予想以上にかかることがあるため、注意してください。不用品を買い取ってくれる業者もあるので、上手く活用すると節約できます。
オフィス移転にかかる費用②:新オフィスの内装工事費用
新オフィスの内装工事費用は、1坪あたり10~40万円が目安となります。デザインにこだわるほど費用は膨らむため、予算とこだわりのバランスを検討することが大切です。また業者によって対応範囲や費用は異なります理想のオフィス内装と予算を明確にしておきましょう。また、ネットワーク工事費用は社員1人あたり5万円が目安です。オフィス家具などの什器購入費用も用意しておく必要があります。
内装工事費用は、内容によって大きく差が生じますが、たとえば従業員30名、会議室付きの50坪~60坪のオフィスの内装工事には、1,300~2,500万円程度の費用がかかると考えてください。什器購入コストなども含めると、数千万円以上の費用が予想されます。
オフィス移転にかかる費用③:原状回復工事の費用
現オフィスを退去する際に原状回復義務があります。原状回復に必要な費用も忘れてはいけません。原状回復工事は、借りた時の状態と現在の状態の差によって費用が異なりますが、一般的に1坪あたり3万円程度が相場とされています。オフィスの立地やビルの規模によっても異なり、大型のビル・タワービルだと1坪4~5万円くらいになることも。間取りを変更している場合は、より工事費用は膨らみます。
依頼する際は、必ず見積もりを出してもらいましょう。中には現地視察をせず見積書を出す業者もあります。一部の修繕でいいのに前面修繕を提案してくるような業者も。不動産の知識がないと高い費用を請求されることがあるので注意してください。
原状回復工事費用は、敷金でカバーできる場合もあります。また、貸主が工事業者を指定していることもあるため、事前に貸主や不動産会社と協議して費用を算出するといいでしょう。
オフィス移転にかかる費用④:敷金・仲介手数料
新オフィスの契約にかかる費用には、敷金・礼金、不動産会社へ支払う仲介手数料、火災保険料、前家賃があります。オフィスの場合、敷金は賃料の4~12カ月分、礼金は1~2カ月分、仲介手数料や前家賃は賃料の1カ月分が相場です。
火災保険料はフロア面積によって決まるのが一般的です。2年契約で2~3万円を目安にしておくといいでしょう。一般的な火災保険は、火災だけでなく、水漏れによる下層階への損害なども保障の範囲になっています。必要な範囲が対象になっているか、契約内容を確認してください。
新設の会社や保証人がいない場合には、保証会社を利用することがあります。保証会社を依頼する場合は、保証委託金が必要です。費用は家賃が未納などの場合に備えて預託金として扱われます。
オフィス移転にかかる費用⑤:住所変更に伴う諸経費
住所変更のための、取引先や顧客へのお知らせ、パンフレットや封筒に印刷している住所の修正、ホームページの修正に費用が発生します。社員1人あたり1~3万円を考えておくといいでしょう。
また、社会保険事務所や法務局、税務署などへの書類提出も必要です。専門知識が必要になるため、行政書士事務所へ委託する場合は10~25万円の費用がかかります。
オフィス移転をスムーズにするポイント
備品を再利用する
できるだけコストを抑えてオフィス移転するためには、現オフィスで使用している什器・OA機器などを再利用することが有効です。原状回復や内装工事の費用を抑えるのは難しいですが、社内で使用する物の新調を見送ることは難しくありません。
すべてを再利用するということではなく、備品のコンディションや新オフィスのレイアウトに合わせて、利用できるものは利用するというだけでも、ある程度のコスト削減が可能です。また、倉庫や更衣室など社員のみが使用する場所は再利用し、会議室など来客エリアは新調するなど、メリハリを検討してみてください。
居抜き物件を検討する
居抜き物件とは、前に入居していた企業が使っていた内装や設備がそのまま残っている状態の物件です。同業種の居抜き物件であれば、新オフィスのために備品・設備を新調する必要がありません。
ただし、居抜き物件は、自社のコンセプトに合わない場合、かえって改修工事にコストがかかってしまいます。居抜き物件を検討する際は、ビジョンを明確にして、ぴったりの居抜き物件を探しましょう。
見積もりは複数社からとる
オフィス移転で大きな費用が動く内装工事・原状回復工事・物品の発注では、必ず見積もりを取得して計画を進めます。この際、複数社に見積もりを依頼することが、スムーズな移転のポイントです。1社だけの見積もりでは、その価格の適性を判断できません。複数社に見積もりを取ることで、適正価格が分かります。
ただし、価格はサービス内容に比例することが一般的。細やかなサービスを提供してくれる業者は相場より高くなる傾向があります。予算に合うことはもちろん大切ですが、その上で、自社に必要なサービスを提供してくれる業者を選ぶことが大切です。
関わる工事業者を減らす
オフィス移転をスムーズにするために意識したいのは、工事業者を減らすことです。オフィス移転では、物件選定から原状回復工事、新オフィスの内装工事など複数の工程が発生します。それぞれに専門業者を手配することは可能です。しかし、複数の工事業者が絡むことで、スケジュールの調整などの手間が膨れ上がってしまいます。
業者を絞った方がまとめての費用で依頼でき、総額を抑えることも可能です。オフィス移転では、パートナーを出来るだけ絞ることをおすすめします。
オフィス移転のプロにアドバイスをもらう
オフィス移転は、費用も作業量も膨大です。「移転を進めたいのに時間や人手のリソースがない」と悩んでいる企業も少なくありません。また、オフィス移転は頻繁にあることではないため、何から始めたらいいのか分からないということもあるでしょう。
そんなときは、プロにアドバイスをもらうことで、スムーズなオフィス移転が実現します。移転専門のコンサルティングに相談してみましょう。業者によって得意な領域があります。自社のニーズに合うコンサルティングを選ぶことが、移転成功のポイントです。
迷ったらオフィス移転のプロに依頼を!
オフィス移転には、多くのコストがかかります。特に新オフィスの契約と内装工事が最もコストのかかる工程です。また現オフィスの原状回復工事や引っ越し費用、不用品の処分費用も考えておかなくてはいけません。
できるだけコストを抑えて移転するには、できるだけ備品を新調せず現オフィスのものを使用するといいでしょう。また、オフィス移転のプロに任せることもおすすめ。社内での作業工程と負担を減らし、スムーズな移転を成功させられます。オフィス移転をどう進めればいいか迷う場合は、プロに相談してみてください。